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新型コロナワクチンについて<その5>~モデルナ社の新型コロナワクチンについて~

三澤多真子 医療法人社団公懌会 小金井メディカルクリニック 理事長

モデルナ社とアストラゼネカ社の新型コロナワクチンが5月21日厚労省に特例承認されました。このうちモデルナ社のワクチンは公的接種の対象となり、すでに5月24日から東京や大阪等の大規模接種会場で使用されています。一方、アストラゼネカ社のワクチンはまれながら血栓症の副反応が報告されたこともあり現時点では公的接種の対象外とされ、本邦では使用される予定はありません。

モデルナ社のワクチンは今後各地の大規模接種会場等で使用が広がる予定です。今回はモデルナ社のワクチンについて解説致します。

1.ファイザー・ビオンテック社のワクチンと同じところ、違うところ

大前提としてモデルナ社のワクチンはファイザー・ビオンテック社のワクチンと非常に似ています。いずれもmRNAワクチンで、基本的に同じテクノロジーで作られています。(mRNAワクチンについては「新型コロナワクチンについて <その1>~効果と安全性と特徴~」をご参照ください。)
米国でもどちらも使用されており、その似た性質からコカ・コーラとペプシ・コーラに例えられたりしています。

それぞれのワクチンの特徴を表1にまとめました。違うところは赤字にしています。
【表1】
ワクチンの特徴

有効性や安全性もほぼ同じで、表に示した通り非常に高い有効性があります。

いずれも筋肉注射で、接種後15~30分待機していただくのも同じです。
どちらも2回接種ですが、ファイザー・ビオンテック社のワクチンは通常2回目を3週間後(最短で18日以上の間隔をおいて接種可能、3週間過ぎた際はなるべく早く接種)、モデルナ社のほうは通常4週間後(最短で20日以上の間隔をおいて接種可能、4週間過ぎた際はなるべく早く接種)に接種します。

ファイザー・ビオンテック社のワクチンは12歳以上(これまで16歳以上でしたが5月31日から12歳以上に拡大されました)、モデルナ社のものは18歳以上で接種可能です。モデルナ社のワクチンも米国で12歳以上への臨床試験が行われて安全性と有効性が確認されており、さらに若年への臨床試験も進行中です。

1回目と2回目のワクチンは必ず同じ会社のものを接種します。1回目と2回目で違うワクチンを接種した際の有効性や安全性は確認されておりません。それぞれのワクチンを扱う会場は異なりますのでご注意ください。

2.有効性

ファイザー・ビオンテック社、モデルナ社のワクチンとも、1回目接種の約2週間後から徐々に免疫がつきはじめ、2回目接種の2週間後にしっかり免疫がつくとされています。

どのぐらいの期間中和抗体が維持されるかについては、新しいワクチンであり期間的に調査の限界がありますが、少なくとも6か月間は抗体が持続することがわかっています。

また変異ウイルスについても、ウイルスを中和する効果はやや落ちるものの効果が全くなくなるわけではなく、ある程度予防はできることが分かっています。

3.安全性

重篤な副反応であるアナフィラキシーはごくまれで、発症した方もすべて適切な処置がなされています。アメリカや日本において、これまでファイザー・ビオンテック社およびモデルナ社のワクチン接種が原因で死亡した方は報告されていません。アストラゼネカ社やジョンソン&ジョンソン社のベクターワクチンではまれながら血栓症の副反応が報告されていますが、mRNAワクチンでは血栓症の副反応はこれまで報告がありません。

ファイザー・ビオンテック社、モデルナ社のワクチンとも mRNAをつつむ脂の膜としてポリエチレングリコール(PEG)が使用されており、PEGアレルギーの方は接種ができません。ただしPEGは多くの医薬品や化粧品、食品添加物として使用されており、PEGアレルギーはごくまれであるとされています。たとえ医薬品や化粧品でアレルギーが出たことがある方でもその他の成分による可能性が高いと考えられます。実際には、1回目の新型コロナワクチン接種でアナフィラキシーが出た方以外は接種を受けられると考えて構いません。

一般的にみられる副反応は表2となっており、やや頻度は高いですがファイザー・ビオンテック社と大差はありません。いずれも2回目の2日目が最も頻度が多く、数日でおさまります。いずれも若い方のほうが頻度・程度が高いです。

4.最後に

ワクチンを接種することで新型コロナウイルスに感染することなく免疫をつけることができます。

私たちの体の1つの細胞に1個の新型コロナウイルスが感染すると、細胞内でウイルスが100~1000万個に増殖し細胞を壊して体内にばらまかれます。ワクチンで接種するmRNAはウイルスの表面の一部のたんぱく質の設計図であり、量もごく少量ですぐ分解されますので、体への影響は比べ物になりません。

なお、非常に有効性の高いワクチンではありますが予防効果は100%ではなく、まだ集団免疫も獲得できておりません。ワクチン接種した後も手洗い、マスク、3密回避の感染予防対策の継続をお願い致します。それでも安心感はだいぶ違うはずですよ!

【参考資料】
「コミナティ筋注」添付文書
「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」添付文書
厚生労働省「新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について 自治体説明会➅ 令和3年5月25日」
N Engl J Med. 2020;383:2603-2615
N Engl J Med. 2021;384:403-416
N Engl J Med. DOI: 10.1056/NEJMc2103916.
こびナビQ&A
文化人放送局You Tube 2021/5/22(土)【医療SPECIAL】

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三澤多真子(医療法人社団公懌会 小金井メディカルクリニック 理事長)

◇◇三澤多真子氏の掲載済コラム◇◇
「新型コロナワクチンについて<その4>~筋肉注射について~」【2021年4月20日掲載】
「新型コロナワクチンについて<その3>~よくみられる副反応について~」【2021年4月15日掲載】
「新型コロナワクチンについて<その2>~禁忌者・要注意者・アナフィラキシーについて~」【2021年4月8日掲載】
「新型コロナワクチンについて<その1>~効果と安全性と特徴~」【2021年4月6日掲載】
「新型コロナウイルス感染症の検査の目的と解釈の理解のために」【2020年5月26日掲載】
「若年性認知症の人の社会参加に対する考察」【2019年7月30日掲載】
「おたふくかぜワクチン定期接種化を求む」【2018年4月24日掲載】

2021.06.03