コラム

    • どこへ行く蓮舫民進党――いつまで迷走するのか

    • 2016年10月25日2016:10:25:06:48:59
      • 關田伸雄
        • 政治ジャーナリスト

10月23日投開票の衆院東京10区と福岡6区の補欠選挙は自民党公認候補と自民党系候補の勝利に終わった。
 
民進党は両選挙区に公認候補を擁立。共産党も独自候補擁立を見送り、先の参院選同様に「民共共闘」を組んで臨んだ。
 
東京10区は小池百合子都知事が自民党公認候補を支援したこともあってのことだ。福岡6区では自民党分裂選挙になったが、民進党公認候補は破れ去った。
 
背景には民進党支持率の低迷がある。蓮舫(本名・村田蓮舫)氏が代表に就任して40日あまり。起こってもおかしくない「蓮舫ブーム」は影も形も見えない。
 
 

■低迷する支持・評価

 
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が10月15、16両日に行った世論調査によると、民進党支持率は10.3%。9月17、18両日に実施した前回調査では10.0%だったので「微増」という結果だが、自民党支持率も前回より0.4ポイントアップの40.3%になっており、かろうじて野党第一党の面目を保った格好だ。
 
とはいえ、「蓮舫氏の就任後の取り組みを評価するか」との設問には46.3%が「評価しない」と回答している。「評価する」は39.3%で、その差は7.0ポイント。民進党関係者からは「1カ月という短期間で判断するのは難しい」という言い訳も聞こえてくるが、問題は次の質問への回答だ。
 
「蓮舫氏のもとで民進党が政権を担う政党になると思うか」。実に8割近い77.5%が「思わない」と答えている。「思う」は18.3%しかない。
 
前回調査では、「思わない」75.8%、「思う」16.5%で、両方とも「微増」である。民進党関係者の一人は「『思わない』の増加率より、『思う』の増加率の方がわずかだが上回っており、理解が進んできている証拠だ」と強弁するが、「思わない」の比率が「思う」の約4.6倍にのぼっていることに対する説明にはなっていない。
 
この調査結果について、蓮舫氏は「真摯(しんし)に受け止めたいと思うが、引き続き頑張る姿勢に全く変わりはない」と述べた(産経新聞)という。
 
蓮舫氏といえば、旧民主党政権の行政刷新担当相時代にスーパーコンピューター開発の事業仕分けで口にした「2位じゃだめなんでしょうか」という言葉が有名だが、民進党支持率の低迷をどうやって乗り越えるのかの戦略は見いだせないでいるようだ。
 
 

■「二重国籍」の影響

 
代表選への出馬表明前後から蓮舫氏を襲ったのが、台湾との「二重国籍」問題だ。
 
火付け役の夕刊フジ(産経新聞社発行)や産経新聞が追及を続けている。産経とFNNの世論調査では、「蓮舫氏は『二重国籍』問題について説明責任を果たしていると思うか」との問いに、45.1%が「思わない」との回答を寄せた。
 
ただ、「思う」も47.7%にのぼっており、「二重国籍」問題そのものが民進党支持率の低迷に直結しているとは言えない。
 
民進党が野党であり、蓮舫氏が国会で追及の矢面に立たされないで済んでいることも影響している。だが、記者会見などでの答弁が二転三転した事実は残っており、蓮舫氏本人と民進党の危機管理能力に疑問が残っているのも事実だ。
 
日本維新の会が国会に提出した国会議員の二重国籍を禁じる法案の審議が始まれば、蓮舫氏の問題が再び蒸し返され、ボディーブローとなって跳ね返ってくることは避けられない。
 
そのときになってから対策を考えても間に合わない。民進党には問題が沈静化している今のうちに対処方針を検討しておくことをお勧めしたい。
 
 

■存在意義を否定する「野党共闘」

 
10月16日に行われた新潟県知事選では共産、自由、社民各党が推薦した米山隆一氏が勝利した。
 
民進党は柏崎刈羽原発の再稼働反対を掲げる米山氏を推薦せず、「自主投票」で臨んだものの、前原誠司元外相が共産党の小池晃書記局長と一緒に長岡市内で街頭演説したほか、所属国会議員が新潟入りして米山氏を支援。蓮舫氏も投開票日直前の14日に急きょ応援に駆け付けた。
 
「自主投票」は安全の再確認を前提とした原発再稼働を容認する党の方針に則ったもので、支持母体である「連合」も同様の方針であることから連合に配慮した結果だ。
 
野田佳彦幹事長(元首相)は米山氏の当選について「オール新潟で戦った結果、自民、公明両党の推薦候補に勝った。安倍政権に対する県民の怒りの声も表れていた」と述べた。とても「自主投票」で臨んだ政党の責任者とは思えない。
 
こうした、ちぐはぐな対応は野党内や連合内でも批判にさらされた。
 
自由党の小沢一郎代表は蓮舫氏の対応について「勝ちそうになったから応援に行くのは、野党第一党として主体性がなさ過ぎる」と非難。「自主投票」についても「最大野党の民進党は何のために政党を構成しているのか。政権を獲る気がないなら、国民への背信行為、民主主義を否定する行為だ。そんなのは解散した方がいい」と切って捨てた。
 
社民党の又市征治幹事長も「自主投票」について、「県民の世論を読み誤ったのではないか。『自公 VS 野党連合』の構図が明確となり、期待が寄せられたことを民進党もしっかり受け止めてほしい」と注文をつけた。
 
こうした状況も踏まえたうえで、連合の神津里季生会長は蓮舫氏が選挙の最終局面で米山氏応援のために新潟に駆け付けたことに対し、「(自民党系候補を支援した)連合新潟にとっては火に油を注ぐようなものだった」と厳しく批判した。
 
それもこれも民進党が自らの政治スタンスを決め切れていないためだ。票の積み上げだけを目的とした「民共共闘」への傾斜も野党第一党としての存在意義を否定しているように感じられる。
 
 

■置き去りにされた「提案型政党」への脱皮

 
蓮舫氏は代表就任にあたって「バリバリの保守」を自称、「提案型政党」への脱皮を約束した。
 
だが、国会での論戦や攻防の実態を見ると、経済政策でアベノミクス批判に終始しているのをはじめ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認と関連法案審議でも、旧民主党政権が同協定締結に前向きだった過去を忘れ去ったかのように抵抗一辺倒の対応を続けている。
 
自らの政策は不在だ。そこに政権奪還を目指す姿勢は見えない。
 
支持率の低迷は有権者の期待に応えられない民進党の実態を反映した結果といえる。
 
共産党や自由、社民両党などが「野党統一候補」にこだわり続けるのは、独自候補では選挙戦勝利がおぼつかないからだ。それに巻き込まれて民進党がズルズルと共闘を引きずることを支持者は期待しているのか。
 
蓮舫民主党は、論調と異なる結果が出ることも少なくない産経新聞社とFNNの合同世論調査だけでなく、マスコミ各社の世論調査結果を詳細に分析したうえで、政権戦略を再構築すべきではないか。「余計なお世話」と言われることを承知で提言したい。
 
 
 
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關田伸雄(政治ジャーナリスト)

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