コラム

    • どこへ行く民進党――政策不在の野党共闘の無責任

    • 2016年05月03日2016:05:03:01:18:25
      • 關田伸雄
        • 政治ジャーナリスト

鳴り物入りで誕生した新党・民進党の先行きが見えてこない。
 
 

◆届かなかった衆院北海道5区補選

 
4月24日投開票の衆院補選では、自民党が候補を擁立しなかった京都3区で社民党の推薦を受けた民進党前職が順当に当選を果たした。しかし、公明党と日本のこころを大切にする党の推薦を受けた自民党候補と、民進、共産、社民、生活推薦の野党統一候補(無所属)の一騎打ちとなった北海道5区では、野党候補が1万2千票差まで自民党候補を追い上げたものの、議席獲得はならなかった。
 
民進党の枝野幸男幹事長は北海道5区での敗戦について「大変残念な結果だが、接戦までもっていけたことで次に向けた大きな一歩になった」と自賛。共産党の小池晃書記局長も「『安倍一強』と言われていたが、野党が結束し、自公対野党という構図になれば、ここまで追い詰めることができると証明された」と強気の発言を繰り返した。
 
確かに、同補選が町村信孝前衆院議長の死去に伴うものであり、自民党候補が町村氏の娘婿であることから考えれば、無所属女性候補の戦いは与党側に大きな危機感を抱かせるものだった。
 
投開票翌日の自民党役員会で、安倍晋三首相が「 これまでの実績などを有権者に評価いただいて、大きな勝利を得た」とする一方で、「勝ってかぶとの緒を締めよ。今後も国民の声に謙虚に耳を傾けながら、身を引き締めて政権運営にあたると同時に、政府・与党力をあわせて、山積する課題に取り組んでいきたい」と 党内の引き締めをはかったのも危機意識の表れといえる。
 
とはいえ、民進党の岡田克也代表や野田佳彦前首相、山尾志桜里政調会長ら、共産党も小池書記局長らが相次いで選挙区入りするなど、野党側も総力戦を展開しただけに脱力感が残っている。
 
 

◆旧党支持者も離反?

 
民進党の支持率は、結党直後から低迷を続けている。
 
共同通信が3月26、27日両日に行った調査では、「民進党に期待する」との回答は26.1%で、「期待しない」の67.8%を大きく下回った。支持率も8.0%で、2月調査の民主(9.3%)、維新(1.2%)両党の支持率を合わせた10.5%さえ下回った。
 
読売新聞の調査(4月1~3日)では、「民進党に期待する」31%、「期待しない」60%、支持率も6%止まり。NHK調査(4月8~10日)でも、支持率は自民党の34.9%を大きく下回る9.1%。朝日新聞調査(4月9~10日)も、「民進党に期待する」は32%で、「期待しない」は58%、支持率は8%。時事通信の調査(4月8~11日)でみると、支持率は4.2%で、3月調査の民主党5.6%にさえ至っていない。
 
支持率が旧民主、旧維新両党の支持率合計を下回っているということは、それぞれの支持層が離反したことを意味している。現状のままでは、「より幅広い勢力の結集」が難しいだけでなく、先細りに陥る可能性もある。
 
 

◆気勢を上げても進まない政策合意

 
共産党の志位和夫委員長は5月1日に東京・代々木公園で開いた全労連系のメーデー集会で「補選はあと一歩だったが、野党と市民が一つにまとまれば自民党を倒すことができるとの希望の灯をともした」と気勢を上げた。
 
志位氏の発言通り、今年夏の参院選に向けた野党統一候補擁立は一定の成果を上げてはいる。ただ、実際の選挙準備では民進党と共産党の間に大きな距離感が残っているのが実情のようだ。
 
それぞれの支持労組である連合と全労連も組織拡大・防衛をめぐって暗闘を繰り返してきた歴史がある。支持者名簿を共有することもそれぞれの手の内を見せることに直結するだけに容易ではない。そして何より問題なのは、共産党の言う「戦争法(安全保障関連法)廃止」以外に、有権者にアピールできる具体的な政策合意が存在しないことだ。
 
参院選の争点になるとみられる消費税率の引き上げをめぐっても民進党が財政再建路線を完全に放棄していないことから足並みはそろっていない。憲法改正をめぐっても自衛隊の廃止、日米安全保障条約の廃棄、象徴天皇制の将来的な「解消」をうたっている共産党と、自衛隊の活用、日米安保の深化、必要な憲法改正を主張してきた民進党では、水と油でしかない。
 
政策的に何をするのかわからない野党統一候補にどれほどの有権者が同調できるだろうか。それが奏功するようであれば、ポピュリズムの極みというしかない。
 
党内世論をまとめられなかったために説得力のある対案を示せず、「憲法違反」のレッテル貼りと大合唱に終わった安保関連法審議と同じことの繰り返しだ。
 
選挙戦術として、十分に成果が上がっていないとされるアベノミクス批判をメインに据えるのも結構だが、野党自らどういう経済運営、経済・金融政策を行おうとしているのか明確にするのが先決ではないのか。
 
岡田氏は共産党との連立政権樹立に否定的な発言を繰り返している。では民進党はどうしたいのか。どういう政権を目指すのかを明確にしないまま、数合わせによって票だけを集めようとするのは、政党として無責任だとしか言えない。
 
 
 
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關田伸雄(政治ジャーナリスト)

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