コラム

    • 政治不在、野田政権延命の害悪

    • 2012年10月16日2012:10:16:00:00:05
      • 關田伸雄
        • 政治ジャーナリスト

 

 今年度予算の執行に不可欠な赤字国債を発行するための特例公債法案処理が最大の焦点となる臨時国会の開催をめぐって、与野党の攻防が始まっている。野田佳彦首相がかつて「近いうち」と公約していた衆院解散の時期と密接にリンクするからだ。
 
 11日に自民党の安倍晋三総裁と面会した野田首相は「しかるべきときに臨時国会を開催し、大いに議論したい」と述べたうえで、臨時国会前に公明党を含めた3党で党首会談を行うよう要請した。
 
 安倍氏は党首会談で特例公債法案審議への協力と引き換えに年内の衆院解散の確約を取り付けたい考えだが、野田首相らの思惑は違っているようだ。
 
 15日の民主党と自公両党の幹事長会談で、民主党の輿石東幹事長は10月末に臨時国会召集したいとの考えを伝え、週内の党首会談を求めた。しかし、民主党が自公両党の要求する早期の衆院解散確約に応じる気配は微塵もなく、臨時国会を召集しても本格審議を先送りする可能性が高い。このため、早くても「1月解散、2月衆院選」を狙っているとの見方が出ている。
 
 その時期は、通常であれば、来年度予算案審議が本格化する時期であり、「予算案審議の停滞=景気悪化」という構図を描き、少しでも有利に選挙戦を進めたいという考えのようだ。
 
 国会戦術、衆院選対策としては理屈がつくのかもしれない。できるだけ衆院解散を先送りにしようとしてきたとされる民主党の輿石東幹事長が考えそうなシナリオだ。
 
 しかし、その間の日本の政治を考えると空恐ろしくなる。尖閣諸島の奪取を狙っている中国との関係、李明博大統領の天皇陛下謝罪要求で悪化している韓国との関係、垂直離着陸輸送機Ⅴ-22オスプレイの配備で揺れる沖縄県との関係…野田政権が緊急に対処すべき政治課題は山積している。
 
 そのどれにも手を付けずに政権の延命だけを考えているとすれば責任は重大だ。尖閣有事の際に適切な対応ができずに中国軍の不法占拠を許すような事態になったら、取り返しのつかないことになるのを野田首相は自覚しているのだろうか?
 
 一日も早く政治への信頼を取り戻し、国民とともにもろもろの政治課題に取り組むには、衆院を解散して新たな政治体制をつくりあげる以外に方法はない。「衆院解散という政治空白をつくってはならない」という主張が正当性を失っているのは、自公両党との党首会談にさえ及び腰で完全に機能不全に陥っている野田政権の現状をみれば明らかだ。
 
 
 
--- 關田伸雄(政治ジャーナリスト)

コラムニスト一覧
月別アーカイブ