コラム

    • 鳩山政権に明日はない

    • 2010年06月01日2010:06:01:14:48:19
      • 關田伸雄
        • 政治ジャーナリスト

 最早、政権の体をなさなくなった鳩山内閣。だが、鳩山由紀夫首相はその座から降りようとする気配さえ示さない。いったい何を考えているのか、凡人には理解できない。 

 いまだに信じられないのが、社民党党首でもある福島瑞穂消費者・少子化担当相の沖縄訪問を容認したことだ。案の定、福島氏は米軍普天間飛行場移設をめぐって「名護市辺野古に移設する」との政府案に反対する考えを表明、仲井真弘多沖縄県知事に「県内移設阻止」に向けた共闘を呼び掛けた。 

 米軍基地をめぐる政府との折衝でもまれてきた経験がある仲井真氏は、福島氏の呼び掛けに直接応えず、「県民の納得がいく方向で解決策をまとめていただくのが願いだ。がんばってほしい」と述べるにとどまった。 

 「閣僚として行くのはいかがなものかと思うが、社民党党首という立場で行かれるのはやむを得ない」。福島氏の行動は鳩山首相の“お墨付き”を得たパフォーマンスだった。 

 自らが「県外移設断念」を陳謝したうえで示した辺野古移設案を、わずか2日後に与党党首で閣僚が全面的に否定し、「阻止」をアピールする。この事実を国民はどう受け止めたらいいのか。 

 そうでなくても、鳩山首相は昨年の衆院選で「最低でも県外移設」を公約し、問題の決着を昨年末、今年3月末、5月末へと先送りしてきた。「腹案」といった言葉まで使い、「県外移設」への沖縄県民の期待を引っ張るだけ引っ張って最終的にそれを裏切った格好だ。 鳩山首相への怒りは県内移設反対派だけでなく、容認派にまで及んでいる。 

 「私が申し上げた方針は変わることはない」。鳩山首相は福島氏の「阻止宣言」の翌日、こう言い切った。だが、福島氏の行動を容認しておいて、結果的に辺野古案を変えないというのは一体どういうことなのか。「社民党のガス抜き」という感覚であるならば、あまりに沖縄県民の感情を無視した判断だ。福島氏ですら、鳩山首相を「二重基準で、国民の理解は得られない」と酷評している。踊らされた社民党の行きつく果ては連立離脱しかない。 

 鳩山首相は普天間移設問題への一連の対応を「新しい政治の姿だ」と考えているのかもしれない。自らの理想に基づいて「県外移設」を打ち出し、それを実現させるために数々の代替案を模索する。「結果が出なくても理想を追求した事実は残る。がんばったんだから、いずれは認めてもらえる」。そう考えているのかもしれない。否、そう考えているのだとしか思えない。 

 比較しては申し訳ないが、試合に敗れた甲子園球児と同じくらいの感覚だ。政治家は結果責任を問われるのが前提の職業であり、論理矛盾ではあるが、鳩山首相には「究極のアマチュア政治家」という表現がぴったりだ。 

 甲子園では一度でも負けると球児たちの春や夏は終わる。試合に敗れた悔しさをかみしめながら甲子園の砂を集める姿に感動を覚えた人も多いと思う。鳩山首相にもせめて球児たちのような潔さをと考えるのは私だけだろうか。 

※上記コラム執筆のあと、鳩山首相は閣議での署名を拒否した福島氏を罷免、これを受けて社民党は連立を離脱した。鳩山首相はその後も続投に意欲を示していたが、「このままでは参院選を戦えない」として、民主党内で退陣要求が高まり、6月2日、ついに退陣を表明した。(2010年6月2日追記)

 


--- 關田伸雄 (政治ジャーナリスト) 

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