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先見創意の会

オゾンガス曝露により新型コロナウイルスを不活化した居住空間の確保策(提案)

岡光序治 会社経営、元厚生省勤務

背景

医院の診療室、集会室、ビルやホテルの部屋など人のいる室内(以下、単に「居住空間」という。)においては、感染拡大防止のため、使用後手作業によるアルコール拭き等で除菌を行ってきている。

オゾンガスは多くの病原体を不活化する効果があることは知られており、アルコール拭きに代わる解決策の一つとして、オゾンガスによる除菌が提唱されている。
しかし、オゾンガスによるウイルス不活化についての医学的なエビデンスは無く、また、一定濃度以上では人体に悪影響が及ぶものと懸念されていた。

不活化実験の報告

そもそも、オゾンとは、分子式O₃、酸素の同素体(酸素と酸素原子を結合させた気体)で、空気中に噴霧するとすぐに元の酸素と酸素原子に分かれようとする性質を持つ。このうち酸素原子がウイルスと結合する働きによって不活化させると考えられている。0.1ppm以下なら人体に影響はなく、反応時に有害な副産物を作ることもないため安全とされている。(日本産業衛生学会は、作業環境基準としてのオゾン許容濃度を0.1ppm<労働者が1日8時間、週40時間浴びた場合の平均曝露濃度>と勧告している。)

公立大学法人奈良県立医科大学は、令和2年5月14日、同大学を中心とする研究グループがオゾンガス曝露による新型コロナウイルスの不活化実験を行い、不活化されること及びオゾン濃度と曝露時間の条件と不活化の関係について明らかにしたと報告した。(Press Release)

また、藤田医科大学(愛知県豊明市)の村田貴之教授らの研究グループは、令和2年10月20日、低濃度(0.05または0.1ppm)のオゾンガスでも新型コロナウイルスを不活性化できることを実験的に明らかにしたと報告した。(藤田医科大学 プレスリリース【2020.8.26掲載】

居住空間への適用

広島工業大学(広島市佐伯区)の田中 武教授(工学部電子情報工学科)の指導のもと、宿泊施設を管理する企業の協力を得て、広島県江田島市にある宿泊施設の居住空間においてオゾンガスを発生・管理する一連のシステムの導入を試みた(令和2年10月)ので、その状況を報告する。

今後、一連の装置及びシステムについて、稼働を重ねデータを集積・分析し、必要に応じ改良などを加えながら総合的に考察し、安く、かつ、簡便に運用できるように整え、コロナ対策の一助になるようにしていきたい。

具体策―導入実例の内容

1.基本的な手順
使用予定の居住空間を密閉し、オゾン発生装置を設置しオゾンを発生させ、一定時間、一定の濃度のオゾンで満たす→当該居住空間にオゾン濃度測定装置を設置し、空気中のオゾン濃度を測定し、所定の濃度になっていることを確認できるようにする→そのため、ネットワーク環境を整え、オゾン濃度について、当該居住空間から管理センターへ発信し、かつ、管理センターが濃度をコントロールできる体制とする→オゾン濃度測定装置に清浄空気送風装置を併設して置き、管理センターからの指示で清浄空気を送風できるようにしておく→測定開始時、清浄空気を送風し、オゾン濃度ゼロ点を取得し、所定の濃度までオゾンを噴霧する→所定の時間経過後、清浄空気を送風し、オゾン濃度が0.1ppmになっていることを確認する→居住空間の使用を開始する→使用後、一連のシステムの運用を繰り返す。

2.オゾン発生装置、オゾン濃度測定装置及び通信機器システム
オゾン発生装置:オーニット株式会社製 GWN―300CT
オゾンセンサー:WinsenMQ131
オゾンセンサー搭載のIoT機器―Arduino Uno Rev3+Sigfox Shield for Arduino V2S(ネットワークは、LPWAとし、Sigfoxを使用)
管理センター:PC設置。Sigfoxの運用するクラウドにアクセス。データを収集し、クラウド中の計算ソフトを用いて分析のうえ、PC上に表示(必要に応じ、あらかじめ設定したスマホなどに情報連絡することも可能なようにしておく。)

継続研究の必要

藤田医科大学病院では既に導入済みのオゾン発生器を使用して、病院内の待合所や病室などでの感染リスクを低減させる取り組みを、昨年9月初旬から開始する、と報告している。

そうした結果も参考にしながら、製作した一連の装置とシステムを改良し。使用の簡便化と効率性向上などを図っていくことにしている。

なお、上記の装置を含む一連のシステムについては、特許出願中である。

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岡光序治(会社経営、元厚生省勤務)

◇◇岡光序治氏の掲載済コラム◇◇
◆「『食』が全CO2の3割占める」【2020.10.6掲載】
◆「地球システムのレジリアンスにかかる提案」【2020.6.16掲載】
◆「Sigfoxを用いたIoT機器の製作と活用」【2020.2.18掲載】

☞それ以前のコラムはこちらからご覧ください。

2021.02.09