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医療機器メカトロニクス
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第6回 『医療用超音波』  
連載3 ― 「超音波は音の仲間(その1) ―音の正体―」
(掲載日: 2007.07.27)
<< 連載2 「なぜ波ができるのか」

1.音の波

 音波は「粗密波」とも呼ばれ、伝わるときに空気の密度(圧力)を変化させていきます。

 イメージしてください。空気をブロックに分けます(図6)。

 最初の振動でつぶされて密度が高くなったAのブロックはBのブロックを押します。Bのブロックがつぶれて密度が高くなるときには、Aのブロックは勢いあまって膨らんで逆に密度が低くなります。

 一方、BのブロックはCのブロックを押し始めます。このとき、空気は音の進行方向に振動しているので「縦波」ということになります。

2.空気を伝わる音

 音波が進んでいる時の空気の密度は図7-aのような感じになります。聞いている人が受ける音波を、時間を横軸にして図にすると図7-bのようになります。

 縦軸が音の大きさで、横軸から分かる周波数が音の高さと関係があります。周波数は1秒間に含まれる波の個数です。人間は周波数の大きい音を高音、小さい音を低音と定義しています。密度(圧力)の変化の大きさが「音の強さ」で、周波数は「音の高さ」を表すということです。

3.音の速さ

 超音波のしくみを理解するには、「音波の速さ(音速)」についての知識が重要です。

 音速は、音波が伝わる物質(媒質)によってだいたい決まっています。室温の空気中であれば340m/s、水中では1,500m/sです。

 音速は、媒質の弾性定数と密度によって決定されます。弾性定数とは、簡単に言うと硬さです。音速は弾性定数が大きくて(硬くて)、密度の小さい媒質では速くなります。

 一般的に、気体より液体や固体のほうが音速は速くなります(表1-a)。生体内の音速は水とだいたい同じくらいで、超音波診断装置の音速は1,530m/s(JIS規格37度)と設定されています(表1-b)。



4.音波の周波数と波長

 人が聞こえる音波の範囲は、周波数20〜20,000Hzと言われています。超音波は、「人の耳で聞こえないくらい高周波数の音波」のことを言い、医療用では周波数は1〜20MHz(メガヘルツ:1,000,000ヘルツ)の超音波が利用されています。

 空気中の音波の波長は、空気中では音速が340m/s、また[音速=周波数×波長]なので、17mm〜17mになります。生体内の超音波の波長は、音速が1,530m/sなので0.077mm〜1.53mmになります。

<POINT!>
 音波が空気中を伝わるとき、空気の密度の変化は音の強さ(=音の大きさ)を表し、周波数は音の高低を表す。
 超音波とは、「人の耳で聞こえないくらい高周波数の音波」のこと。
連載4「超音波は音の仲間(その2)―音波の性質―」 >>
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