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医療機器メカトロニクス
病院で何気なく目にする様々な医療機器、その仕組みや原理等を分かりやすく解説します。
(解説者:医師 北村 大也)
第5回 『MRI(核磁気共鳴画像法)』  
連載2 ― 「MRIの原理(その2) ― 磁力とは何か ― 」
(掲載日: 2007.06.15)
<< 連載1 「MRIの原理(その1) ― 磁気の力 ― 」

 磁力の源は何なのかを探っていきましょう。磁石に鉄が付いたとき、その鉄の中では何が起こっているのでしょうか?

棒磁石とクリップを使って考えてみましょう。

 棒磁石にはクリップを何個もつなげることができます。まるで1つ1つのクリップが磁石になったかのようです。しかし、磁石から外してしまうと、クリップは磁石のようには働かなくなってしまいます。

 クリップのように磁石に強く引き付けられる金属を「強磁性体」と言います。強磁性体に磁石を近づけたとき、強磁性体は磁気を帯び磁石のように働きます(磁化)。その一方で、ずっと磁力を失わない磁石を「永久磁石」と言います。

 さて、クリップのついた永久磁石を半分に折ります。折る前には磁力の強い両端にクリップがついています。そして、折った後の2本の磁石もやはり両端にクリップがつきます(図3)。

図3:棒磁石を折るとどうなるか

 これをどんどん繰り返していくと、どこまで小さい磁石になるのでしょうか?

 これは高校の物理を超えて量子論の範囲になってしまいますが、実は電子が最小の磁石と考えられています。

 電子はN極とS極を持つ磁石で、2つの極を持つので磁気双極子と言います。現在のところ、N極だけS極だけといった磁石(磁気単極子)は発見されていません。

図4:電荷を持つ電子が回転すると、磁気が発生する なぜ、電子が磁石の性質を持つかと言うと、イメージ的には電子が自転していると考えます(図4)。電荷を持ったものが回転すれば、磁気が発生します。

 また、電子だけではなく同じく原子を構成する原子核や陽子(プロトン)も小さい磁石と考えることができます。

 多くの物質では、電子どうしの磁力が打ち消しあっていますが、原子の構造やその並び方などにより磁力を保っているのが鉄などの強磁性体や永久磁石です。

<POINT!>
 電荷を持つものが回転すると磁気を発生させる。
 電子は世界最小の磁石と言える。

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