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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.09.29
音楽で大腸内視鏡検査を楽に−米テンプル大
 米テンプル大学(フィラデルフィア州)の研究グループは、音楽が大腸内視鏡検査の痛みの緩和に役に立つとする研究結果を発表した。音楽を聴きながら検査をした人に使用した鎮痛剤の分量が、音楽を聴かないで検査を受けた人に比べて少なくて済んだと言う。

 研究では、大腸内視鏡検査を受ける男女73人に、自宅から好きな音楽の入ったCDを持参してもらい、検査の間、その音楽をイヤホンで聴かせた。音楽の音量は患者しか聞こえないように設定し、医師にはイヤホンで音楽が流れているかわからないようにした。



 その後、検査で投与した催眠鎮静剤ミダゾラムと麻酔・鎮痛剤フェンタニルの分量を比較したところ、検査の間、音楽を聴かなかった患者へのミダゾラムの投与量は4.4r、フェンタニルが93mcgだったのに対し、音楽を聴いていた患者へのミダゾラムの投与量は3.8r、フェンタニルは87mcgで済んだという。この差は臨床的に重要とされる水準と言う。

 音楽が手術前の気持ちの動揺を抑える効果があるとの研究結果もあり、全国の医療機関で音楽の効果についての研究が進み始めている。今回の研究を率いたベンジャミン・クレブスキー医師は、「薬剤の投与が少なくて済めば、医療費の削減につなげることもできるのではないか」と述べている。
First released 25 Sept 2006 @
米国人の「寿命格差」は21年−米ハーバード大学
 米ハーバード大学の研究グループは、1982〜2001年の米国勢調査局と全国保健統計センターの死亡記録を使い、人種、性別、居住地域、民族、収入、医療保険加入の有無などの様々な要素を加味して、その間に死亡した人を8つのグループに分け、死亡年齢を比較した。その結果、2001年時点でもっとも長寿だったのは「アジア系女性」。もっとも短命だった「リスク要因の多い都市部に住む黒人男性」よりも21年も長生きだったことが判明した。

 各種要素の中でも、収入による格差が特に顕著だった。男性の場合、富裕層が貧困層より15年強長生きで、女性も13年弱の開きがあったという。収入格差がそのまま寿命格差につながった格好だ。この差は1987年以降、大きな変化がないという。

 研究では、米国人口を長寿順に、「アジア系住民」「北部郊外に住む白人の低所得者層」「中部住民」「アパラチア山脈およびミシシッピー渓谷周辺に住む白人の低所得者層」「西部原住民」「黒人の中部住民」「南部郊外に住む黒人の低所得層」「リスク要因の多い都市部に住む黒人」の8つのグループに分けて比較した。

 研究グループは、「国際的にみても米国の医療格差は大きいと言える。社会・経済的な側面から改革を進め、医療制度を通じて、予防できる慢性病や負傷などのリスク要因を取り除き、寿命格差を縮めるべきだ」と強調。同時に、「長寿国で知られる日本と貧困国を比較したのと同じぐらいの格差が国内に存在するということだ」と米国の医療制度に不備がある可能性を厳しく指摘した。
First released 11 Sep 2006 @
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