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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.09.01
妊娠初期の妊婦のNSAIDs服用、新生児の先天奇形リスクに
 カナダの研究者が、妊婦が妊娠初期の間にNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)を服用すると、先天奇形の新生児、特に心臓の中隔に欠損のある新生児が生まれやすくなることが分かったとの研究結果を発表した。

 同国では、妊娠初期の妊婦がNSAIDs処方を受けるケースは珍しくない。OTC薬(医師の処方なしで買える薬)になると、15%に上る妊婦が使用しているとされる。これまで妊娠末期のNSAIDs服用が動脈管早期閉鎖や動脈管開存症といった循環器系の問題の原因となることは指摘されてきたが、妊娠初期のNSAIDs服用の危険性をはっきり示す研究結果はなかった。

 研究を行なったのは、St. Justine Hospital(モントリオール)のアニック・ベラルド博士らのグループ。ケベック州にある3件の関係当局から得た36,387人の妊婦の記録を基に、妊娠初期にNSAIDsの処方を受けた妊婦と先天奇形と診断された新生児(年齢、住所、糖尿病の有無など10点の要素を考慮)の相関関係を統計学的に分析した。

 その結果、NSAIDsを服用した妊婦(1056人)のうち8.8%が先天奇形のある子供を出産したのに対し、NSAIDsを服用しなかった妊婦(35,331人)が先天奇形のある子供を出産した割合は7%と、1.8ポイントも低かったと言う。奇形を心奇形に絞ると、さらに差は広がったという。

 「我々の分析により、(妊娠末期だけでなく)妊娠初期のNSAIDs服用でも、奇形、なかでも心奇形の子供が生まれる危険性が高くなることが示唆された」とベラルド博士は締めくくった。

 この研究は『Birth Defects Research PartB』誌の8月号に発表された。この研究はhttp://www.interscience.wiley.com/journal/bdrbでも閲覧可能。
First released 24 Aug 2006 @
乳児突然死症候群の原因に遺伝子−英マンチェスター大学
 英マンチェスター大学の研究チームは、睡眠中に乳児が突然死する乳児突然死症候群(SIDS)の原因となる2つの遺伝子を特定した。同大では、5年前に「インターロイキン-10」の変異体がSIDSの要因になることを指摘している。新たに特定した遺伝子の変異体と、このインターロイキン-10の変異体をすべて持つ乳児は、他の乳児に比べて最大14倍もの確率でSIDSを起こしやすい、としている。

 特定した2つの遺伝子は「インターロイキン-6」と「VEGF遺伝子」。同大の研究結果によれば、これらの遺伝子の変異体がバクテリア感染の際に過度な炎症を招く原因となり、乳児の突然死につながるという。また、VEGF遺伝子の変異体の場合、肺の発達障害の要因になる可能性もあると指摘している。

 同大では、5年前に英ランカスター大学との共同研究で「インターロイキン-10」が生後1年以内の乳児が免疫を持たない微生物との関係を調べ、同遺伝子の変異体が原因でSIDSを起こすリスクが高くなることを認めた。

 研究を率いた微生物学者、デビッド・ドラッカー博士は「今回の研究により、SIDSの要因についてさらに理解を深めることが出来た」として、「研究結果は、SIDSのリスクが高い乳児に絞った医療や社会面でのケアを行なうために役立つだろう」と述べた。
First released 24 Aug 2006 @
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