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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.08.11
アルツハイマー治療薬が化学兵器被害者の治療に効果?
 米メリーランド大学の研究グループは、抗アルツハイマー型痴呆剤「ガランタミン」に、化学戦争やテロ攻撃などに使われる神経剤などの有機リン化合物や、家庭や農場で使用される殺虫剤の予防・解毒剤として高い有効性を認めたとする研究報告を発表した。

 実験で、ガランタミンを投与した動物に、致死量のソマンまたはサリンといった毒性の非常に高い化学物質をそれぞれ被曝させたところ、動物は発作や呼吸困難、運動障害など通常みられる症状を起こさなかっただけでなく、「あたかも神経剤を浴びなかったように動き回っていた」(アドソン・X・アルブケルク博士)と言う。また、農薬「パラオキソン」を浴びた動物に対しても、ガランタミンに同様の予防効果が認められた。

 次に、致死量の「ソマン」または「パラオキソン」をそれぞれ動物に浴びせた後5分以内にガランタミンとアトロピンを併用投与したところ、それらの動物は副作用なしで生存。被曝後の解毒剤としてのガランタミンの効果が確認できたという。

 現時点で、米食品医薬品局(FDA)により、化学兵器の解毒剤として承認されているのは「ピリドスチグミン」のみ。しかし、アルブケルク博士によれば、「ピリドスチグミンは血液から脳に十分浸透せず、解毒効果をもたらすことができない。効果をあげるために、 (地下鉄サリン事件の際にも使用された)『アトロピン』や有機化合物『オキシム』、睡眠薬や抗不安剤などに使用される『ベンゾジアゼピン』などと併用しなければならないが、それでも動物実験の結果では、神経剤を浴びて生存したとしても神経疾患などの後遺症が残る」と説明している。

 アルブケルク博士は、「実験により、ガランタミンは血液から脳に入り込み、毒物から脳を保護する効果があることが分かった」と強調。今後は、化学兵器を使った戦闘に加わる可能性のある兵士や、農薬を浴びる危険性の高い職業の人々向けにも、実用化に向けた実験や開発を進めることになりそうだ。
First released 7 Aug 2006 @
食品や包装材のラッテクス含有表示を−英アレルギー患者支援団体
 ラテックス・アレルギーとは、天然ゴム製品に接触することによって起こる蕁麻疹、アナフィラキシーショック 、喘息発作などの即時型アレルギー反応のこと。英患者支援団体 「ラテックス・アレルギー・サポート・グループ」はこのほど、食品の包装材や食品そのものに致死的なアレルギーを引き起こす可能性がある量のラテックスが含まれているケースがみつかったとして、食品メーカーにラテックスの含有の有無を明記するよう呼びかけた。

 同グループの呼びかけは、英国食品企画庁の支援を受けて英レザーヘッド・フード・インターナショナル社が行なった研究結果に基づく。同社は、製菓、果物、野菜、肉類、小麦製品、乳製品など21種類の食品の包装材(肉用の紐、シール、接着剤など)と食品そのものに含まれるラテックスの量を計測した。

 その結果、3分の1の食品の包装材にラッテクスが含まれていたことが分かったうえ、中には、アレルギーを引き起こす可能性があるとされる「1mlあたり1ナノグラム」の数十倍以上のラテックスが包装材だけでなく、食品そのものにも含まれている場合があることが判明したという。高い含有量が認められたケースでは、チョコレートビスケット本体から20ng/ml、その包装から85ng/mlものラッテクスが検出された。
First released 6 Aug2006 @
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