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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.07.07
糖尿病で傷んだ血管の再生効果が高いたんぱく質−動物実験で確認
 米ユタ大学の研究者たちは、たんぱく質の一種「ネトリン」に神経を修復し、血管を成長させる効果があることを動物実験で確認した。特に糖尿病のネズミに対する効果が顕著だったとし、推定2100万人に上るとされる米国の糖尿病患者の治療にも役立つ可能性があるとしている。

 同大学医学部のディーン・Y・リー助教授らは、「ネトリン-1」が、血管の成長を促進することを試験管レベルの実験で示していたが、ネトリンを実際に動物に投与して効果を確かめる実験を行なったのは今回初めて。

 実験では、抹消血管障害により血流量の減ったネズミにネトリンと血管内皮成長因子(VEGF)をそれぞれ別々に投与し、結果を比較した。両者ともに同レベルでネズミの血管の成長を促進することを確認したが、そのなかで糖尿病のネズミについては、ネトリンのほうがVEGFよりも、血管と神経の成長をより一層促進することが分かったという。糖尿病は患者の神経と血管を傷めることで知られる。

 リー助教授によれば、ネトリンについてはさらなる臨床試験を経なければならず、実際に治療に使われるようになるまでは10年程度はかかる可能性がある、としている。
First released 30 June 2006 @
短くなった米国人の睡眠時間−肥満、糖尿病、高血圧の要因にも
 米国人の平均睡眠時間は6.1時間−−。米シカゴ大学の研究グループが、シカゴ周辺に住む669人(38〜50歳)の米国人を対象に睡眠時間についての調査を実施したところ、1970年代には7時間程度だった米国人の睡眠時間が一段と短くなっていることが判明したという。男女別では男性、人種別では黒人層、所得別では低所得者層のほうが、より睡眠時間が短いことも判明した。

 最近では、睡眠不足が、肥満や糖尿病、高血圧の要因になるとの研究結果も出ており、各種の疾患と睡眠の関連性を調べるうえでも興味深い調査結果と言えそうだ。今回得たデータを基に、冠状動脈の疾患と睡眠の相関関係を調べる研究が行なわれる可能性もあるという。

 調査では、参加者に、日々の睡眠時間を自ら記録してもらったほか、「アクチグラフィー(微細体動測定器)」と呼ばれる腕時計型の装置をつけてもらい、睡眠時間そのものを測定した。

男女別、人種別、所得別でみると、睡眠時間がより短かったのは、男性、黒人層、低所得者層。その理由を示す背景についてまでは調査を進めなかったが、研究チームの1人、ダイアン・ローダデイル氏は「(今回の調査結果により)社会経済的地位(および人種)と睡眠時間の相関関係は、社会経済的地位(および人種)と疾患の相関関係と一貫性があることがわかった」と述べた。

 ローダデイル氏は、「所得の高い層ほど睡眠時間が長い。心配事が少ないからか、または、睡眠をとる生活のリズムをより良く管理できているからなのかもしれない。24時間営業が当たり前の社会で、長い間起きていたくなる誘惑はたくさんある。しかし、この結果から、睡眠時間を削るのは利口ではない、ということが示されたということではないだろうか」と述べた。

 米国人の平均睡眠時間は生活様式の変遷とともに、1900年以降、短縮傾向にある。1900年の平均睡眠時間は9時間だった。
First released 3 July 2006 @
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