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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.06.09
肥満解消がC型肝炎治療に効果?−米メイヨー・クリニック
慢性C型肝炎ウイルス(HCV)の感染者は米国だけで410万人に上る。現在、有効とされているHCV感染の治療法としては、「ペグインターフェロン・アルファとリバビリンの併用療法」があるが、肥満を伴う慢性C型肝炎患者の場合、肥満ではない患者ほど効果があがらないことが多い。

 米メイヨー・クリニック/メイヨー財団のマイケル・R・チャールトン博士らは、体重の減少と糖尿病治療薬投与によるインシュリン抵抗性の抑制、併用療法の期間延長と治療薬の投与量の増加が、肥満を伴う患者に対しても、同併用療法の効果を高める有効な方法である、とする論文を発表した。

 同博士らは、報告書の中で、肥満が併用療法の効果を阻害する要因を3点挙げた。それらは、(1)脂肪組織は免疫システムを左右するホルモンを分泌する。つまり、肥満による脂肪組織が増大すれば、免疫機能を活性化する働きのあるペグインターフェロンの効果を弱めることになる(2)C型肝炎ウイルス感染により、インシュリン抵抗性が増大した患者は、肝臓に脂肪を蓄積しやすくなっている。これに肥満が重なれば肝機能はさらに低下する(3)脂肪組織は、ペグインターフェロンの体内循環量を減少させる働きがある−−である。

 チャールトン博士はこれらを踏まえ「(上記の)代謝異常に焦点を当てた治療戦略により、肥満の患者にも効果的な治療を行なうことができるだろう」と強調した。

 この論文は、米国肝臓学会議(American Association for the Study of Liver Diseases 、AASLD)の会報「Hepatology」2006年6月号に「Impact of Obesity on Treatment of Chronic Hepatitis C」として掲載された。
First released 2 June2006 @
イラク医療システムの復興には、まず看護体制の強化から−米エール大学
 米エール大学大学院(看護学)の研究グループは、戦争で壊滅状態にあるイラクの医療システム復興のためには、医療施設の建設などインフラ整備に加え、看護士の待遇改善や管理者育成も求められているとする調査報告を発表した。

 調査報告は、研究グループが、イラクの看護士744人を対象に実施した看護体制についてのアンケート調査結果に基づく。744人は、イラク北部ドホークとアルビルの2都市を含むクルド人居住地域の医療機関に勤務する看護士。回答は、インターネットを通じて得た。

 その結果、看護士の賃金が労働量に見合わない低い水準にあること、住宅や通勤補助、ワクチン接種など生活・健康面での保障体制が未整備であること、管理者不在、看護に必要な医療機器や備品不足などの問題があることが分かった。また、看護士育成のための資金援助を求める声も多かったという。

 また、アンケートを通じて、小児疾患、癌、性感染症(ただし、HIV感染率は低い)、栄養不良などの疾患に対応する医療体制の整備が急務であることも浮き彫りになった。癌の発症率が高い理由の1つには、フセイン政権がクルド人に対して行なった化学兵器による攻撃の影響が残っていることがあるとみられる。
First released 25 May 2006 @
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