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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.05.19
臭いで診断も可能に−バルセロナ大等がセンサー開発
 スペイン、フランス、イタリアの研究者グループが、嗅覚の機能を持つ超小型電子センサーを用いて診察する技術を開発している。欧州委員会(EC)が支援する「FET(未来発展技術)」イニシアティブの一環で、バルセロナ大学(スペイン)のサミティア教授らが中心になって開発中だ。

 センサーは、超小型電極に載せた動物の嗅覚受容体のたんぱく質の層の臭い分子に対する化学反応を測定する仕組み。人間の嗅覚だけでは感知できない臭いも測定可能という。

 センサーに使用されるたんぱく質は、臭いを正確に測定するために、ネズミや酵母などから数百種類の嗅覚受容体の遺伝子をコピーして作成した。

 サミティア教授は、この装置を使って、血液や排泄物などの臭いを測定し、臓器疾患やバクテリア感染、ガンなどの診断に活用できるようになるのではないか、としている。
First released 15 May 2006 @
慢性疲労症候群(CFS)の原因に遺伝子変化
 米疾病管理予防センター(CDC)は、慢性疲労症候群(CFS)が遺伝的な要因で引き起こされる、とする調査報告を発表した。

 CFSとは、これまで健康に生活していた人が、原因不明の強い倦怠感を全身で感じるようになり、微熱や、頭痛、脱力感が思考力の障害、抑うつ等の精神神経症状が長期にわたって続く疾患。1990年頃から米国を中心に一般の注目を集めるようになり、ストレス過多や長時間勤務の人に多くみられる症状だったことから「ヤッピー風邪」などと呼ばれた。

 研究チームは、無作為に選んだカンザス州住民に電話をかけ、その中からCFSの症状があると診断された227人を選出。一人ひとりの血液を採取し、遺伝子配列などの生体情報と症状の相関関係を調べ、その結果をCFS症状のないグループと比べた。その結果、CFSの症状のある人とない人とでは、遺伝子に特徴的な違いがみられたという。

  CFSは、ウイルス感染や負傷などが視床下部・下垂体・ 副腎系軸に影響し、免疫機能など体全体の機能低下を招くこともある、とされている。遺伝的な要素でCFSを起こすとする今回の調査結果は、CFSの原因が精神的なものだけではなく、身体的なものでもあるという点で、この見方を裏付けた。

 研究チームはこの調査を通じて、CFSの症状の種類が4〜5つに分類できることもわかったとしている。今後は、CFSを診断するための遺伝子情報をさらに詳しく特定する方針だ。
First published online 21 Apr 2006 @
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