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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2006.02.10
「患者は消費者にあらず」――英研究機関
 英政府が、患者が「選べる」医療を目指す方針を示していることに対し、英研究機関「the Economic and Social Research Council, ESRC」は、「人々は買い物をするのと同じ感覚で公益サービスを受けようなどと考えていない」と反対を表明した。

 ESRCは、2003〜2004年にかけて、医療や警察等の公益業務に当たる人員及び一般市民600人(英南西部、南東部の都市部在住者)を対象にアンケート調査を実施。それによると、公益業務の人員も一般市民もそれぞれ半数が自分は地域や社会の一員であるとみなしており、全体の3分の1が「公益サービスを利用している」と認識しているという。また、7割以上が「消費者」としてではなく、「患者」や「公益サービスの利用者」とみられることを望んだという。

  調査を率いた英オープン・ユニバーシティのジョン・クラーク教授は、「病院や警察、ソーシャル・サービスを利用する際、人々は必ずしも自分が何をしてほしいのかということをはっきりわかっているわけではない。問題に直面したときに、専門的な知識のある人員が、親身になって問題の解決を助けてくれることを望んでいる。つまり、信頼関係を重視しているということであり、顔の見えない、一回だけのサービスを求めているわけではない」と強調した。

 「人々が既存の公益サービスのあり方に不満を抱いていないというわけではないが、選択肢を増やすことが、必ず全体の利益につながるものなのかどうか、不安視しているようだ」としている。
First released 5 Feb 2006 @
遺伝子転移技術が鬱病治療に効果?――米フロリダ州立大学
 米フロリダ州立大学の研究チームは、遺伝子転移技術を使って脳の一部の脳由来神経栄養因子(BDNF)の遺伝子発現を阻害したネズミに日常的に脅威を感じさせる実験を10日間実施したところ、通常のネズミに比べて、引きこもる傾向を示さなかったことがわかった。この調査結果は科学誌「サイエンス」(2006年2月10日号)に掲載された。

  実験では、10日間にわたり、ネズミを他の攻撃的なネズミの脅威に晒し、その後の行動パターンを比較した。その結果、敗北したネズミには食欲、性欲の減退がみられ、攻撃的ではない他のネズミからもコンタクトを避け、巣の隅に引きこもる傾向が強くなったという。その後、食欲と性欲は回復したものの、引きこもりの傾向は治らなかった。しかし、BDNFの発現を阻害されたネズミにこのような傾向はみられなかった。

 同大のカルロス・ボラノス助教授は「現在、使われている抗鬱剤の効果に疑いはないが、まだ理想的なものではない。今回の実験で示されたように、遺伝子技術の応用で、副作用の少ない新しいタイプの治療法の開発につなげることができるかもしれない」と述べた。  
First released 9 Feb 2006 @
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