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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2005.12.16
高齢者の記憶力を強化する方法――米UCLA
 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームは、適度な運動や1日5回の食事、ストレッチなどリラックス効果のある体操などによるストレス軽減を心がけることが、高齢者の記憶力の維持と強化に効果があるとする調査報告を発表した。米精神神経薬理学会の年次会議で発表した。

 研究チームは、17人の高齢者に(1)記憶力を試すゲームを行なう、(2)脳の主エネルギーであるぶどう糖の水準を維持するため、1日に5回の食事を少量に分けて摂取する(栄養バランスも考慮)、(3)体力維持のために早歩きやストレッチ運動をする、(4)ストレッチなどのリラクゼーション運動でストレスの軽減に努める――の4点を日常的に行なう生活プログラムを継続させ、2週間後に脳のPET検査を実施。検査結果をプログラムを開始する直前の2週間前と比較した。

 その結果、プログラム終了後は、記憶の働きに関係する脳の部位(dorsal lateral prefrontal)の新陳代謝が5%減り、効率的に機能していることが判明したという。また、参加者はそれぞれ、自分の記憶力が向上したという自覚がある、と答えたという。

  この調査結果について、UCLAのゲイリー・スモール教授は「健康的な食事や運動が体力の維持に役立つように、記憶力についても、短期間にこれだけの成果が出たことは注目に値する」と述べた。今後は食事、運動などがそれぞれどのように記憶力の維持や強化に役立つかを調べ、もっとも効果の高い生活様式プログラムを編成する計画という。
First released 12 Dec 2005@ @
米国で緩和医療が急速に普及
 米国で緩和医療プログラムを導入している病院が急速に増えている。米マウント・サイナイ医療センターと米国医師会の調査によれば、緩和医療プログラムの件数は2000年から2003年の3年間で63%増加。2003年に米全土の病院のうち25%が同プログラムを導入しているとの結果となった。

  増加の理由としては、(1)慢性疾患を抱える高齢者の治療コストが増大するなかで、緩和医療の導入はコスト抑制につながるとの認識が広まった、(2)各種の調査で、(従来の治療体制では)疼痛や症状について医師と患者の間で十分なコミュニケーションが不足し、治療体制に欠陥がある場合があることが示された、(3)慈善団体が緩和医療促進のための寄付を積極的に行なっている――ことなどがあるとしている。

  米国では、2030年までに65歳以上の人口は全体の2割を占めると予想されている。調査チームのダイアン・メイアー氏は「疾患の苦しみを緩和して、自分の時間を大切に過ごしたいと望む人が増えている。緩和医療プログラムの需要は高く、導入するというだけで、(病院に)紹介状が殺到するほどだ」と語った。

 マウント・サイナイ医療センターのショーン・モリソン氏は「医療提供者側の間で、緩和医療は患者さんに質の高い医療を提供できるだけでなく、病院のコストを抑えるといった点でも大きな効果があるとの認識が広まりつつある」として、今後、緩和医療プログラムの導入件数がさらに増える可能性が高いことを示唆した。
First released 12 Dec 2005 @
塩分嗜好と出生時の体重の関係
 米モネル化学感知センター(Monell Chemical Senses Center)は、出生時の体重が軽い人ほど強い塩分嗜好を示す可能性が高い、とする研究論文を発表した。論文は「European Journal of Clinical Nutrition」に掲載された。

 研究では、生後2ヶ月の乳児80人に、塩分の入った溶液と水だけの入ったボトルを交互に与え、それぞれの摂取量を比べたところ、体重の軽い乳児ほど塩分の入った溶液の摂取量の割合が大きかったという。このうち34人については、3〜4才に成長した段階で塩分嗜好を再調査した。その結果、同じように出生時の体重が軽かった子供ほど塩分に強い嗜好を示したという。

  このことから、調査を率いたレズリー・スタイン氏は「胎内で塩分嗜好が決まる可能性が高い」との見方を強めたという。今後は成人の塩分嗜好と出生時の体重の関連性を確認するなど、もう一段の調査を進める方針だ。塩分の過剰な摂取は高血圧など各種の疾患の原因となることが知られており、こうした調査を通じて、塩分摂取を抑える治療法の確立を目指す考えとみられる。
First released 7 Dec 2005 @
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