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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2005.12.09
一卵性双子でも抗HIV免疫反応に違い−米UCLA
 米カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)のエイズ研究所は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した一卵性双生児の間でHIVに対する免疫反応に違いがみられたとする論文を発表した。論文は「Journal of Virology」12月号に掲載された。

 双子は1983年に生まれ、同じ献血者の輸血を受けて同時にHIVに感染した。その後、両者は同じ都市に居住し、ほぼ同じ生活環境の中で成長した。論文によれば、その間、両者の免疫機能が攻撃するHIVの部分は同じで、感染から17年経過した後も変わりはなかった。しかし、体内に侵入した抗原を認識するT細胞受容体(TCR)が、HIVをどのように認識し、ウイルスと相互作用するかについては、両者の間に違いがあっただけではなく、その時々でばらつきがみられたという。

 これを受けてUCLAのオットー・ヤング助教授は、「同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の間で、免疫反応にばらつきがみられたということは、すべての人に効果があるワクチンを開発することが、いかに難しいかということだ」と述べた。 
<関連サイト>
・Journal of Virology (http://jvi.asm.org)
First released 6 Dec 2005 @
適度な飲酒は肥満を抑制?−米メイヨ・クリニック
 米メイヨ・クリニックとテキサステック大学は、適度なアルコールの摂取が肥満抑制につながる可能性があるとの調査報告を発表した。報告文はオンライン医療ジャーナル「BioMed Central Public Health」に掲載された。

 国が行なっている健康栄養審査の調査データから、非喫煙者8286人を選出し、飲酒量とBMI値を比較した。その結果、日常的な飲酒量が1〜2杯程度(1週間の飲酒量5杯以下)の人は、飲酒をしない人に比べて、肥満の確率が0.73ポイント低かったという。

  メイヨ・クリニックのジェームズ・ローラー氏とテキサステック大のアハメド・アリフ氏は、「だからといって、どのようにしてアルコールの摂取が肥満を防ぐのかは解明されておらず、飲まない人に飲酒を勧めているわけではない。むしろ、飲酒量が多い人(1日の飲酒量が4杯以上)は飲酒をしない人に比べて46%も肥満である確率が高かったという結果に注目して欲しい」と述べた。
<関連サイト>
・BioMed Central (http://www.biomedcentral.com/)
First released 4 Dec 2005 @
注射針を使わない予防接種が普及へ−米カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校
 米カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校化学工学部のサミル・ミトラゴトリ教授は、開発途上国で注射針による予防接種が肝炎などの感染疾患拡大の原因の1つになっているとして、塗り薬や経口型など新しい接種の方法の開発が急速に進んでいるとの調査報告を発表した。報告は「Nature Reviews」に「Immunization Without Needles」として掲載された。

 世界保健機関(WHO)の推定では、加盟国が属する4地域で実施された予防接種の3分の1が安全性に問題があるとされる。開発途上国では、注射針を使った予防接種により、数百万人がB型肝炎やC型肝炎に感染、そして数千人がHIVに感染したとされ、こうした感染を防ぐためにも注射針を使わない予防接種の方法を開発・普及させるべきだとの見方が強まっている。

 注射針を使わない予防接種の方法としては、塗り薬や経口タイプ、鼻腔スプレーなどがあり、メーカーも研究・開発に乗り出しているという。ミトラゴトリ教授は「いずれ新しい方法が一般に普及するだろう」とみている。「新しい予防接種の方法の開発費用がかかるため、最初は予防接種費用がはねあがるだろうが、注射型予防接種を通じて感染症が広がることの経済的負担のほうが大きい」(同)ためだ。
First released 1 Dec 2005 @
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