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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2005.11.25
騒音が心臓発作の原因に−独シャリテ医療センター
 独シャリテ医療センターの研究チームは、ドイツ国内の心臓病患者4,000人を対象に、騒音と心臓発作の関連性についての調査を実施した。患者の生活環境の中で騒音があるかないかの違いで発作を起こす確率がどのように異なるかを調べた。その結果、騒音が続く環境で生活する患者が心臓発作を起こす確率は、騒音の少ない環境で生活する患者よりも50%も高いことがわかったという。

 女性の場合は騒音の影響がさらに顕著で、心臓発作を起こす危険性は通常の3倍も高いことが判明したという。また、心臓への影響があるのは、騒音レベルが70デシベル付近であることも分かった。米職業安全健康局(OSHA)は、職場での騒音を85デシベル以下に抑えることを勧めているが、調査を率いたステファン・ヴィリッヒ氏は「85デシベルの上限を下げるべきかどうかも調査したほうがいいかもしれない」と述べた。

 同じ騒音に対する反応では、心臓病患者と他の患者の間に違いはみられなかった。また、生活様式による違いが結果に影響しないように、調査対象の患者の生活レベルはほぼ同等となるよう配慮した。
 
 ヴィリッヒ氏は、騒音が心臓発作を起こす確率を高めることについて「継続的に騒音に晒されていると、ストレスに関係するホルモンのレベルを上げ、これが心臓疾患を悪化させるのかもしれない」とみている。喫煙や肥満も心臓発作のリスクを高めると言われるが、調査の結果から「騒音も通常の危険因子とみなしても良いのではないだろうか」と述べた。
First published online 23 Nov 2005 @
軽度の鬱症状患者に高い心理状況解読力−加クィーンズ大学
 カナダのクイーン大学精神科学部の研究チームは、軽度の鬱症状がある人と鬱症状のない人の心理状況解読力テストの結果を比較した。それによると、軽度の鬱症状がある人のほうが、周囲の人間の心理状況を推し量ろうとする意識が強いことがわかった。

 実施したのは、話す相手の目の動きなどでその人の考えや気持ちをどれだけ推し量ることができるかを試験する心理状況解読テスト。過去に同大で行なった鬱病と診断された患者を対象にしたテストでは逆に、鬱の症状のない人よりも相手の心理状況を解読する力が弱かったという。

 研究チームは、鬱病と診断されたケースと軽度の鬱症状があるケースの違いを明確に示すのは難しいことを認める一方、「軽度の鬱症状を起こした人の場合は、最初、無力感を感じ、もとの社会生活に復帰しようとする気持ちが強くなるのではないか。そのために、周囲の状況を細部にわたり観察し、相手がどのように考え、感じているかを推し量ろうとするのだろう」と分析した。
First released 21 Nov 2005 @
外傷患者の治療の研究に遅れ−英BMJが指摘
 英医療専門誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)は、救急医療で扱うことの多い外傷患者の治療についての研究が遅れていると指摘。「科学的根拠に基づく医療(EBM)」の考え方の導入を含め、治療方法の改善を進めるべきだとの論説を掲載した。

 世界では自動車事故や暴行などが原因の外傷で死亡する人の数は毎日1万、重症を負った人の数は30万人に上る。しかし、他の疾病に比べると、治療方法を改善するために行なわれる臨床試験の件数は、はるかに少なく、あったとしても小規模で実際の改善につながるものではないという。

 英国で本格的な臨床試験を行なったところ、過去30年間採用されてきた治療方法が有益どころか、症状を悪化させることが判明したケースもあったという。

 BMJは、緊急治療室に運ばれる外傷患者の場合、意識不明でインフォームド・コンセントを得られない場合も多く、こうした実践面で生じる問題も含めて、改善の必要性があるとした。
<関連サイト>
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/extract/331/7525/1094
First released 10 Nov 2005 @
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