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海外トピックス
英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。
掲載日: 2005.11.11
マリファナ成分がリューマチ性関節炎の疼痛緩和に効果−英王立病院
 英王立リューマチ性疾患専門病院(RNHRD)とバース大学は、マリファナの成分がリューマチ性関節炎患者の疼痛緩和に効果があるとの調査結果を「Rheumatology」誌のオンライン版(11月9日付)で発表した。マリファナの成分に疼痛を緩和する効果があるとは、かねて指摘されているが、公式な調査で確認されたのは、これが初めてという。

  調査を実施したのは、RNHRDのデビッド・ブレーク教授とバース大学の研究チーム。調査では、リューマチ性関節炎患者31人にマリファナ成分を含む治療薬(CBM)、27人に偽薬をそれぞれ一定期間服用させ、その後、動作時および安静時における疼痛がそれぞれ緩和されたかどうか、炎症の度合い、睡眠が改善されたかどうか、疼痛の度合い、などを比較調査した。

 その結果、偽薬を服用したグループに改善はほとんどみられなかったものの、CBMを服用していたグループにはすべての点において改善がみられたという。

 CBMは、マリファナの2つの構成要素――(1)ネズミを使った実験で炎症抑制効果が認められた「delta-9-Tetrahydrocannabinol (THC)」と、(2)同様に炎症抑制効果と関節炎の進行を遅らせる働きがあることが認められた「cannabidiol (CBD)」――を混合させた治療薬。口内スプレーで服用する。

 調査では、服用は就寝前に限るとし、1日の服用量の上限も定めた。副作用は、めまいなど軽度のものが一部でみられた程度だったという。
First released 8 Nov 2005 @
SSRI抗鬱剤の広告に「待った」――米研究者らが論文
 セロトニン再吸収抑制剤(SSRI)が鬱病治療に効果があるとする広告は科学的根拠に基づいていないとして、米大学の研究者らが、米食品医薬品局(FDA)に対処を求める論文をオンライン医療ジャーナル「PLoS Medicine」に掲載した。アイルランドでは、すでに、SSRIがセロトニンの脳内レベルを安定させると宣伝する広告は禁じられている。同様の指摘が集まれば、FDAもメーカーに対し、SSRIの効果について直接的な表現を避けるように求めるなどの対応を迫られることになりそうだ。

 広告に問題があり、と指摘したのは、米フロリダ州立大学の研究者ジェフリー・ラカス氏とレイク・エリー整骨医療大学のジョナサン・レオ教授の2人。両者が、SSRIについての一般向け広告を各種調べたところ、多くが、神経伝達物質「セロトニン」のレベルが下がると鬱病を引き起こす可能性があると指摘し、SSRIはセロトニンのバランスを保つ効果があると宣伝しているという。

 ラカス氏らは、こうした広告に対し、「セロトニンのレベルの上下が鬱病を引き起こしたり、治療できると断言できる科学的根拠はまだない」と指摘。科学的根拠がない理由として「セロトニン自体のメカニズムがまだ十分に把握されていない。さらに、セロトニンのレベルを上昇させる別の化学物質を使った実験では、鬱病の症状を緩和できなかった」(レオ教授)ことを強調した。

 英科学誌ネイチャーのオンラインニュースサービス「news@nature.com」によれば、ラカス氏らが問題ありとした広告の多くは、鬱病の原因が解明されていないことに触れており、セロトニンのレベル低下が鬱病を引き起こす『可能性』を示唆したにすぎないとの指摘もあるという。これに対し、ラカス氏らは「FDAには、効果にどのような限界があるかを示さなければならないという広告規定があるはずだ」として、引き続き対処を求める考えだ。 
First released 7 Nov 2005 @
ナッツ・アレルギーが治る子供も――米ジョン・ホプキンス小児センター
 アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類を摂取するとアナフィラキシー・ショックなどの激しいアレルギー反応を起こすような子供でも、成長過程でアレルギー反応を示さなくなる場合がある――。

  ジョン・ホプキンス小児センターの研究グループは、ナッツ・アレルギーの子供のうち9%が成長過程で、アレルギー反応を起こさなくなるとの調査報告を「Journal of Allergy and Clinical Immunology」誌11月号で発表した。ナッツ・アレルギーは生涯続くと考えられる傾向にあるが、「専門医はアレルギーがなくなったかどうか時々確認する必要があるのではないか」と指摘している。

 調査では、3〜21歳まで278人のナッツ・アレルギーがあると過去に診断された患者にナッツを含む食品を実際に摂取させて確認した。その結果、9%はアレルギー反応を起こさなかったという。同時に、血中ナッツ抗体「TN-IgE」のレベルも調べたところ、血液1リットル当たりの「TN-IgE」のレベルが5キロユニット以下の患者のうち58%がアレルギー反応を起こさなかったという。
First released 8 Nov 2005 @
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