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(掲載日 2007.05.22)
医師の時間外勤務が宿・日直か通常勤務かの判断は厚生労働省内部から国税庁に移行するのか
投稿者  北海道在住 江原 朗
 5月15日の読売新聞によれば、長崎市立の3病院において宿・日直を行った医師に支払われた手当にかかる税金が個別に追加徴収されることが報じられています。

■「長崎市立3病院に追徴税1,187万円 税務署、宿・日直手当分で告知」
(2007.05.15 読売新聞 西部朝刊)

 長崎市病院局は14日、市民病院、成人病センター、野母崎病院の市立3病院で、医師の宿・日直手当など総額約3,655万円について源泉徴収をせず、長崎税務署から約1,187万円の追加徴収の告知を受けた、と発表した。同局は同日付で納付した。

 同局によると、国税庁の通達では、宿・日直勤務1回の手当のうち4,000円は非課税となる。しかし、勤務中に医療行為を行った場合は、宿・日直勤務とみなされず、通常勤務として手当全額が課税対象となるが、同局は非課税扱いとしてきた。昨年8月以降、同税務署から調査を受けていた。

 調査の結果、2003年から4年間で、医師112人分、計約1,059万円の徴収漏れが分かり、延滞税などを加えた約1,187万円の追加徴収を求められた。同局が立て替えて納付し、今後、医師から個別に徴収するという。

 同局企画総務課の片岡研之課長は「通達の解釈が間違っていた。今後、是正する」と述べた。」

 宿・日直勤務1回の手当のうち4,000円は非課税となりますが、勤務中に医療行為を行った場合は、宿・日直勤務とみなされず、通常勤務として手当全額が課税対象となるため、このようなことが起こります。

参考: 法第28条 <給与所得>関係 (国税庁)

 実際には、夜間・休日の当直勤務については、

 厚生労働省通達で、「常態としてほとんど労働する必要のない勤務のみを認めるものであり、病室の定時巡回、少数の要注意患者の検脈、検温等の特殊な措置を要しない軽度の、又は短時間の業務を行うことを目的とするものに限ること。

 したがつて、原則として、通常の労働の継続は認められないが、救急医療等を行うことが稀にあつても、一般的にみて睡眠が充分とりうるものであれば差し支えないこと。」と指導されています。

 宿・日直の定義に合わない夜間・休日の勤務については通常勤務として扱うようにとの趣旨ですが、現時点では曖昧な運用になっているのが実情です。

参考: 医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について (基発第 0319007 号、平成14年3月19日、厚生労働省労働基準局長)

 しかし、労働基準行政が医療現場に積極的に介入できなくても、税務署が徴税の形で通常勤務か宿日直かを判断する段階に入りました。

 ひょんなことから、医療現場における労務管理は、医政や労働基準行政という厚生労働省の守備範囲の問題を超えて、国税庁の問題という新たな局面を迎えつつあるのかもしれません。
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