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(掲載日 2007.03.16)
医師の勤務時間に関する答弁
投稿者  北海道在住 江原 朗
 病院に拘束されている時間を従業時間、休憩時間、その他に区別することはできるのでしょうか。

 3月6日の参議院予算委員会で柳沢厚生労働大臣は、医師の勤務時間に関する答弁を行いました。「病院に拘束されている時間は長いかも知れないが、その中には休憩時間、自分の研究をしてる時間も含まれている」との趣旨のものでした。

 しかし、病院にいる時間のうち、実際の診療に当たっていない時間を純粋に休憩時間とか研究時間と割り切ることができるでしょうか。

 患者の検査結果が出るまで、文献を読んでいたり、医局でテレビを見たりして待機している医師は多いと思います。もし、こうした時間を休憩時間や研究時間として扱っているのであれば無理があります。

 待機時間(手待ち時間)が労働時間であるとの判例はすでにあります。平成9(オ)608割増賃金請求事件、平成14年02月28日 (裁判所ウェブサイト) においては、「労働者が実作業に従事していない仮眠時間であっても、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているものであって、労働基準法32条の労働時間に当たる」との司法判断がされています。

 さらに、県立奈良病院の産婦人科医は、宅直(自宅待機)について、「労働からの解放が保障されておらず、勤務時間とみなすべきで、県の手当支給は違法」と主張して裁判を起こしています。(asahi.com 06/12/09)

 たしかに、医師が実際の診療にかかわる時間は病院内に拘束されている時間に比べて短いものです。診療時間が細切れに存在し、長時間拘束されていることは事実です。労働基準法34条では「休憩時間を自由に利用させなければならない」とあります。

 しかし、診療に当たっていない自由時間を利用して医師が長時間病院内とどまっているわけではありません。事実、夜間の救急外来では受診の時間帯が散在しているため、診療時間は短くても、休憩および睡眠が十分できないことはすでに示されています。

(参考文献)
江原朗:小児救急担当者の夜間における診療と睡眠について.小児科臨床 2006;59:2071-2075.

 予算委員会で質問を行った議員と政治信条を同じくするものではありませんが、勤務医の一人として国会における厚生労働大臣の答弁には疑問を感じました。
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