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(掲載日 2006.11.14)
「当直時間が労働時間であるとの司法判断はすでになされている」
投稿者  北海道在住 江原 朗
 先日、県立奈良病院の産婦人科医が当直に関する賃金の支払いに関して奈良県に申し入れを行い、県側がこれを支払いを拒否したとのasahi.com(10月21日)の報道を紹介した。当直について労働基準法は「ほとんど労働する必要がない状態」と規定しており、医師たちは当直料ではなく、超過勤務手当として支給されるべきだと主張している。

 しかし、司法の場においては医師の当直を労働時間として認める判例はすでにあるのだ。関西医大の研修医が過労死した事件に関連した裁判の中で大阪高裁は以下の司法判断をしている。副直つまり当直は労働時間として算定されるのである。


 「副直は、研修医の指導医が当直として病院に泊まり込むときに、これに付き添って病院に泊まり込む業務であり、Aは、副直の担当日は、当日の原則的な勤務終了時刻から引き続き副直勤務に入り、翌日の原則的な勤務の開始時刻までこれに従事したものと認められる。

 なお7月5日については,被控訴人らの主張が、Aが7月4日の副直勤務に引き続き、7月5日の午前7時30分までこれに従事したことを主張する趣旨であるのは明らかであり、Aは、7月5日午前7時30分まで継続して勤務したと認めるのが相当である。」


 医療安全、労働衛生の両面から、医師の過重労働は是正される必要がある。適正な労務管理を伴わず、勤務医の使命感や善意だけに基づく24時間救急体制は早晩瓦解する運命にあると考えざるをえない。
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