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(掲載日 2006.07.14)
医師は自らの襟を正し、建設的な意見を
投稿者  ジャパン・ヘルス・プロモーション・ネットワーク 代表 清水 隆司
 国は国の都合で考えるものです。国の財政問題は、一種の現在と未来の戦いでもあります。財政問題と医療費削減の問題はリンクしています。政府の社会保障に対するやり方は現在のメリットを享受しておきながら、未来の世代に、そのしわ寄せを残すものです。これは、言語道断ではないでしょうか。

 医師が、このようなやり方に黙っているわけにはいきません。そのために、医師はもっと社会を勉強するべきだと思います。例えば、一般企業は、利潤を追求しているだけではありません。品質管理や安全管理の面で、社会的な責任を果たすことが期待され、実行しています。それでは、病院や医療機関は、そのような責任を果たしてきたでしょうか。やっと、医療の品質管理や安全管理に目を向けたばかりではないでしょうか。だから、世間から叩かれるのです。

 まず、国に意見を具申するのであれば、医療従事者は自らの襟をたださないといけない、ということです。リーピーター医師の処分の問題、医療過誤をしてしまった医師の再教育や、医道審議会のあり方、医師免許の更新制の問題――いろいろと問題は山積しています。それらを早期に解決しなければ、未来に禍根を残し、今の子供たちはデメリットを引き継ぐことになるだけでしょう。

 また、安保闘争時代に医学部生だった方々にもお尋ねしたい。安保闘争は、確か、某大学医学部生のインターン制度の問題が発端だったように聞いております。その後、数十年が経ち、研修病院のマッチングやスーパーローテーションを含め、日本の医療は国主導で制度改革が進められています。これに対して、医師は国に説明責任を求めていくことになるわけですが、その前に、安保闘争の旗揚げ役であった世代の方たちは、自らの行いに対して、世間に向け、きちんと説明責任を果たすべきではないでしょうか。

 国のやり方がおかしいと単純に反対するだけなら簡単です。反対意見を唱えるばかりではなく、積極的に前向きな提案もしていく。その課程で、痛みを伴うことにはなるでしょうが、それを今、しなければならない、と私は思います。

 日本は、国民皆保険制度を通じて、高齢化にもかかわらず、先進国の中でも医療費の低い医療を提供することのできる素晴らしい国となりました。これを守るために医師は自らの襟をただし、反対すべきは反対し、前向きな提案も積極的にしていく――医師に求められるのは、こうした姿勢ではないでしょうか。
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