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テーマ  財政審建議書の怪
投稿者  日本医療総合研究所 取締役社長 中村 十念
 財政制度等審議会の「平成18年度予算編成の基本的考え方について」と題する建議書(※)が、6月6日に出された。奇妙な建議書である。(図の詳細はこちら>>)

 社会保障の縮減は国の財政改善にとって焼け石に水だというのである。「国の一般会計の社会保障関係費は一般歳出の4割以上を占めており、この自然増の抑制を図ることが、我が国財政の持続可能性確保に向けた最大の課題となっている」と言いながら、この後、こう続いている。「仮に社会保障給付の伸びを経済成長率並みに抑制できたとしても、2015年度の国の一般会計の基礎的財政収支赤字は依然として約20兆円にものぼる」。

 これまで(いや、これからも)さんざん社会保障を切り刻んでおきながら、この言い草である。こんな人達に国の財政を任せておいても良いものか。

 ともあれ、以下の争点については、急ぎ反論しておかなくてはならない。

* * *

  まず、「社会保障関係費が一般歳出の4割以上を占める」という書きぶりは詐術に近いということである、一般歳出というと国の一般会計の歳出と思う人が多いのではないだろうか。違うのである。一般歳出とは、一般会計の歳出から国債費と地方交付税交付金を省いたものである。つまり、「一般歳出 < 一般会計の歳出」となるから、一般歳出を分母にすると社会保障費の割合が高く出るのは当然である。言葉から受ける印象を利用して、社会保障費の割合を高く見せようとするせこいやり口である。一般会計の歳出に占める社会保障費の割合は2000年度で22%ぐらいである。

  二番目に、過去において、社会保障が日本の財政を悪化させたという証拠はないということである。一般会計に占める社会保障費の割合は1980年で22.4%、1990年度で19.4%、2000年度で22.0%である。2000年度と’80年度では、ほとんど変わりがない。(図1参照)国税に占める社会保障費の割合を見ると、1980年度で36.2%、1990年度で20.9%、2000年度で35.2%である。2000年度と’80年度はほとんど変わらない。(図2参照)(1990年度はバブルの最中で、税収が多く、むしろこの年が例外である)

  社会保障全体に対する財源を見てみると、国庫支出は1980年度で29.2%、1990年度で20.2%、2000年度は21.9%である。1980年度に比較すると2000年度の国庫支出の負担割合は、大きく減っているのである。一方、社会保険料の負担は’80年度が55.5%、’90年度が59.5%、2000年度が61.0%と増加している。(図3参照)社会保険料は、家計と事業主の負担であることはいうまでもない。

* * *

 以上、どの角度から見ても社会保障費の負担が増えて、国の財政が悪化したなどとはとてもいえないのである。

 三番目に、社会保障費の増加と国債の発行残高の間に強い相関はないということである。1980年度の国債の残高を100とすると、1990年度は236、2000年度は528である(2001年度、2002年度も更に延びて、それぞれ557、597となっている)。

  一方、社会保障の国庫支出金を同じように見ると1990年度は137、2000年度は201と可愛いものである。(2001年度は211、2000年度は210である)(図4参照)

 これでは、国債残高の増加の犯人を社会保障と決めつけるのは無理である。

  平成18年度の財務省の医療政策(図5参照)の目玉は、何といっても医療費の総量規制である。その手段として、診療報酬・薬価改定を常態化しようとしている意図が読みとれる。医療費が目標を超えそうになると、即、診療報酬や薬価を引き下げようという訳である。経営も何もあったものではない。一方で、規制緩和を叫びつつ、片方で超・社会主義的な手法をとっても平気なこの人達の頭の中は一体どうなっているのであろうか。

 財政等審議会には、巨大メディアの関係者が7人もいる。ジャーナリストや評論家等も4人いる。都合11人もの、マスコミ関係者がいる訳だ。これらの人たちは、国の社会保障潰しの路線について、どう思っているのだろうか。彼らの声は全く聞こえてこない。

(※財政等審議会ホームページ:http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm)
テーマ  逆転の発想
投稿者  福岡県 KZK (20歳代)
 いつものように飛行機の中で暇を持て余し、機内誌をパラパラめくっているとある記事が目にとまった。

 その記事は米国のビジネススクールのあるプログラムについて紹介したものだった。名付けて"Managing Your Boss"。逆転の発想ということらしい。行動心理学的アプローチから、部下が上司をマネジメントしてしまおうというコンセプトだそうだ。

 「なるほど面白い」と思った。と同時に「これは医療の分野にも応用できるのでは」と考えた。部下が上司を、看護師が医師を、患者が医療職を・・・。逆転のマネジメントによって、今ある医療の問題のいくつかは解決の糸口が見つかるかもしれない。

 "Managing Your Boss"について、詳細をご存知の方、体験者の方は是非内容を詳しく教えてください。
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