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テーマ  新しい先見創意の会の発足にあたって
執筆者  医療法人社団 青柳皮膚科医院 青柳俊 理事長
 私は昨年4月までの8年間、この国の医療政策決定に携わってきた。その間、患者さんや国民の利益を優先的に考えて施策を打ち出し、国民の期待に応える努力を重ねてきたつもりである。医師会が国民の信頼を集め、尚且つ、数多くの心ある医師会員の賛同を得るには、そうした努力が不可欠だと思うからである。

 臨床の現場で患者さんに接している時や、夜間診療や救急医療、学校保健活動、健康教育など地域の医療事業に携わっている時、そして地域行政の要請を受けて医師会としての支援や協力活動を展開している時など、日々の医療活動のさまざまな場面において、医師に対して寄せられる信頼と期待の高さを実感している者も多いはずである。

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 医師会活動から離れ、町医者に完全復帰して10か月。日々の診療に追われる生活の中で、医師会の役割を意識させられることは余りない。しかし、町医者も社会を構成する一員である。その町医者の視点から、みえてくる問題や課題というものもある。日常の診療の中で、私と同じように解決しなければならないと感じる問題や課題を抱える医師も数多くいるはずである。

 そうした問題や課題を解決するには、個々の医師の力では自ずと限界がある。そこで重要になってくるのが、医師会の役割なのである。医師会は、医師が医療人としての使命を「自覚」し、仕事に対する「誇り」を持てるような環境を整備する役割を負う。そして、その役割を果たすために、力を発揮すべきである。そうした環境が整って初めて、医師は患者や国民の期待に自信を持って応えることができるのだから。

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 非常に悲しいことに、最近は「医師会が中心になって活動をすると医師や医師会のエゴが見え隠れするので、医師会はあくまでも黒子に徹するべきである」といった発言や意見を耳にしたり、文献で目にすることが多い。これは、どうしたことであろうか。存在そのものを自己否定しているようなものではないか。実際、医師会員の中には、「地域医師会や日本医師会は、会員のために存在する」という考えに固執している人も多い。この考えが払拭されない限り、医師会が「ホンネ」と「タテマエ」を使い分けていると批判されても仕方がない。国民から真の理解を得ることもないだろう。

 医師会の活動はあくまでも公益的なボランティア活動であり、その目標は国民や地域の患者さんに安心感を与えることにあるといっても過言ではない。一人ひとりの医師と医師会が意識を改革し、国民や患者さんの利益を優先するという共通の理念の下に活動を続けることが大切なのである。

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 昨年11月に発足した「新・先見創意の会」は、医師を始めとする医療従事者が個人としての自由な立場で、そして社会の一員として、情報の交換や相互啓発、意見表明を行う場と機会を提供することを目的にしている。その趣旨に賛同する多くの仲間の参加を期待している。そして、本会の趣旨に沿って、皆さんが前向きで建設的な意見交換の場を構築されることを期待している。この会の趣旨が広く理解され、十分機能することで、今後の医師及び医療従事者の活動に役立つことを願っている。
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