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コラム
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(掲載日 2009.11.04)

 まるで鬼の首を取ったような騒ぎだ。

 朝日、読売、毎日、日経が社説で中央社会保険医療協議会(中医協)の日医推薦3委員がいずれも再任されなかったことを一斉に取り上げた。最近、日本医師会(日医)の動向が全国紙で報道されることがほとんどなかっただけに、執筆した論説委員のはしゃぎぶりが伝わってくる。

 今回の中医協人事、どうみても、政権を奪取した民主党による“日医はずし”が最大の狙い。それでも社説は「3委員を戻せ」とは書かない。総じて「日医排除しは当然」との論調に近い。なぜ、日医を擁護する論調が展開されないのか、日医の全会員は真剣に考えるべきだろう。

 そもそも全国紙で医療や年金など社会保障制度の問題を担当する論説委員には“日医嫌い”が少なくない。どちらかといえば、担当の論説委員には政治部、社会部、経済部の出身が多い。

 何でもかんでも政局の視点でしか医療問題を書けない政治部記者、「患者=善良な国民、日医=開業医の自民党支持団体」という硬直的な図式でとらえたがる社会部記者。経済団体トップの如く、財政再建一辺倒で書きなぐる経済部記者。もちろん、全員がそうだとは言わないが、医療問題に正面から取り組んでいる記者や論説委員がごく少数であることは紛れもない事実だ。

 日医執行部役員は「マスコミは不勉強のうえ、日医に対する誤解・曲解が多すぎる」と愚痴るが、そこまで嫌われる理由を理解し、対応してきた執行部役員がいるのか。“日医はずし”を容認するマスコミ論調を招いた責任の一因は日医自身にもある。

 日医とマスコミの関係が遠すぎる。このままでは医療現場で日々奮闘している開業医や勤務医は救われない。

* * *

 社説の論調を簡単にまとめると、今回の人事は、(1)自民党を支持してきた日医への民主党の報復・揺さぶり、(2)次の診療報酬改定では診療所(開業医)より病院(勤務医)への配分を増やす伏線―の2点に絞られる。政局絡み、日医嫌いのトーンは相変わらず。

 日医が政権政党の自民党をずっと支持していたことは事実だが、それを理由に中医協から日医執行部3人の委員を排除し、民主党に近い新委員を送り込むことが、医療制度にとって、どんなプラスがあるのか理解できない。まして報復や揺さぶりが狙いだとすれば、あまりに党利党略すぎる。旧政権よりひどくないか。

 今回の人事が2010年度診療報酬改定に向けた伏線であり、これまで冷遇されてきた病院(勤務医)の報酬を引き上げると診療所(開業医)の報酬を引き下げる狙いもある社説は指摘する。しかし、開業医と勤務医の報酬を相殺する程度では、保険給付や医師養成などに必要な財源を確保できるはずがない。どう考えても、高齢化と医療技術の進歩で医療費が圧倒的に足らない。政局という“コップの中の嵐”の話を書いてもあまり意味がない。

 それにしても日医は一から出直すべきではないか。日本医師連盟を解散し、名実ともに中立な組織に転換したらどうか。数にものを言わせて時の政権に迫ったり、すり寄ったり、会長選や政党支持をめぐって誹謗中傷合戦を展開したり…。これではおもしろおかしく書かれるだけだ。

 会員の親睦だけではなく、医療現場を通じて得た知識やキャリアを生かし、医療に関する政策提言ができる公益性の高い組織として再生できないものか。それが嫌なら、自民党と心中するくらいの度量で現政権と徹底的に対決したらどうか。連盟の「自民党支持・白紙撤回」は悲しすぎる。
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